
家で淹れるとおいしくない…。
お店で飲んだ味と違う…。

「ドリッパー」を使い分けることで、この悩みは解決できます!
デザインや知名度、価格などで購入してしまいがちなドリッパー。しかし実は、ドリッパーはコーヒーの味わいを大きく左右します。
コーヒーソムリエの資格を持つ筆者が、初心者におすすめなドリッパーを3つを紹介します。ドリッパーの特徴を理解することは、初心者がおいしいコーヒーを淹れる近道かもしれません。

- 日本安全食料料理協会(JSFCA)認定
コーヒーソムリエ - 日本技能開発協会(JSADA)認定
コーヒープロフェッショナル - 年間2,500杯以上コーヒーを
淹れる人

- 日本安全食料料理協会(JSFCA)認定
コーヒーソムリエ - 日本技能開発協会(JSADA)認定
コーヒープロフェッショナル - 年間2,500杯以上コーヒーを淹れる人
※ 本記事は一部PRを含みます。
コーヒーの味を決める3つの要素

コーヒーの味わいや風味を決める要素は、大きく分けて3つあります。
この記事で注目するドリッパーの違いは、「淹れ方」に含まれます。各項目について順に解説します。
コーヒー豆の個性
コーヒー豆の個性は、種類や産地、精製方法の違いなどによって決まります。
豆の大きさや栽培された地域の標高などによって格付けされたり、品評会などで特に評価されたもの(=スペシャルティコーヒー)があります。
【関連記事 】スペシャルティコーヒーとは?定義やサードウェーブとの関係をわかりやすく解説!
産地・等級付けなどによる違い
精製方法による違い

【関連記事】コーヒー豆の精製方法4種類を解説|風味や味わいを左右する大事な要素
焙煎度合い
コーヒー豆の個性や魅力を引き出すためには、その豆に合った焙煎をすることが重要です。浅煎りであるほど酸味が強く、深煎りになるほど苦味が強くなります。

一般的に、イルガチェフェ(エチオピア)やゲイシャ(パナマ)のように、フルーティーさが個性の豆は浅煎りが適しています。一方、マンデリンやグアテマラは深めの焙煎度合いに適性があります。
さらに、幅広い焙煎度合いに対応する豆もあります。例えばケニアは、浅煎りだと明るく爽やかな酸味が、深煎りでは深いコクと優しい甘さが楽しめます。
淹れ方
同じコーヒー豆でも、淹れる条件の違いによって風味は変化します。特に影響が大きいのは、次の4項目です。
- 抽出方法
- 挽き方(メッシュ)
- お湯の温度
- 抽出する時間
ペーパードリップやエスプレッソ、フレンチプレスなど、抽出方法の違いで味が変わることは感覚的に想像できると思います。
しかし、抽出方法が同じでも、挽き方や温度、時間という非常に細かい部分が違うだけで味に影響があります。特に、ドリッパーの違いは「抽出時間」に大きく関係します。

記事の後半では「基本の淹れ方」を紹介しています。ドリッパーの知識とあわせて、ドリップも安定させていきましょう。
ドリッパーの数だけ「哲学」がある

コーヒー豆は生産者が、焙煎は焙煎士が、それぞれこだわりを持って作っています。
ただし、最後にコーヒーを仕上げるのは自分です。
初心者に技術がないのは当然。
経験や知識がないのも当たり前。
だからこそ…
初心者こそ道具の力を借りるべし
ここでいう道具とは、もちろんドリッパーのこと。各メーカーで出しているドリッパーは、「こんな味わいのコーヒーを楽しんでほしい」という想いを起点に、それぞれが蓄積してきたノウハウを結集して作り上げます。
詳しくはあとで解説しますが、ドリッパーの形状によって抽出する時間をコントロールできます。これによって、すっきりしたクリアな味わいを表現したり、力強い印象を押し出したりとと、ある程度までドリッパーによって味わいをデザインすることができます。
ドリッパーの形状、素材、穴の数などにはそれぞれ意味があり、コーヒーに対する「哲学」が詰め込まれている。
つまり、ドリッパーにはそのメーカーのコーヒーに対する「哲学」が詰め込まれています。
初心者が持つべきおすすめのドリッパー3選

コーヒーソムリエの資格を持つ筆者が初心者におすすめするドリッパーは、メリタ、カリタ、ハリオV60の3つです。
個別のドリッパーについて詳細を説明する前に、基本的な傾向を整理しましょう。
形状
- 円錐型
-
お湯が抜けやすく、スッキリとした味わいになる
- 台形型
-
お湯がドリッパー内に滞留することでコーヒーの粉に触れる時間が長くなり、どっしりとした味わいになる
穴の大きさや数
- 大きい or 数が多い
-
お湯が抜けやすく、スッキリとした味わいになる
- 小さい or 数が少ない
-
お湯がドリッパー内に滞留することでコーヒーの粉に触れる時間が長くなり、どっしりとした味わいになる
深煎りの豆は「メリタ」(台形型、ひとつ穴)

メリタはもっとも初心者におすすめのドリッパーといえます。
メリタは台形型で、小さい穴が1つ。そのため、お湯が抜けていくスピードは一定です。味が安定しやすくなり、「淹れるたびに味が違う…」という悩みを解決してくれます。


また、お湯の抜けるスピードはゆっくりで、コーヒーとお湯が触れる時間が長いのも特徴のひとつ。どっしりとした味わいに仕上がるため、深煎りの豆との相性は抜群です。
少量のお湯で蒸らした後、1杯分のお湯をドリッパーに注ぎ切る「メリタ式」と呼ばれる淹れ方があります。このメリタ式で淹れた場合、抽出力が弱まるため軽い仕上がりに感じる人もいるようです。
しかしこの記事ではメリタ式を採用せず、下記で紹介する「基本の淹れ方」にすべて統一しています。
浅煎りの豆には「ハリオV60」(円錐型)

次に紹介するのが、ハリオV60。大げさに言ってしまえば、先に紹介したメリタとは真逆のポジションにいるドリッパーです。
円錐型のハリオV60は、中心に穴が開いています。穴の数こそメリタと同じ1個ですが、その大きさの違いは一目瞭然。大きな穴です。


また、深く長いリブ(=溝)によって、ドリッパーにペーパーフィルターが密着しないように設計されています。これによって、お湯の抜けはさらによくなります。
手早く抽出することで、きれいな酸味とクリアな味わいを引き出しやすいようにデザインされています。そのため、浅煎りの豆とは相性が抜群です。
浅煎りの豆が持つ特有のフルーティーで爽やかな風味を表現したいなら、ハリオV60はマストアイテム。クリアで透明感のあるすっきりとした味わいは、他ではなかなか表現しきれないと思います。
ハリオV60は淹れ方次第で味をコントロールできる反面、狙い通りの味にするには繊細な調整が必要な面もあります。
しかし、あとで説明する「淹れ方の基本」をおさえて経験を積んでいけば、かなり安定します。心配はいりません。
オールラウンダーの「カリタ」(台形型、3つ穴)

日本で最もポピュラーなドリッパーといっても過言ではないのが、カリタ。ドリップする際に「の」の字でお湯を注ぐスタイルは、カリタが最初に提唱したと言われています。
カリタは台形型で、小さな穴が3つ横一列に並んでいます。


カリタは、じっくり抽出するメリタと、手早くクリアに仕上げるハリオV60の中間のポジション。そのため、バランスの取れた味わいに仕上がります。
焙煎度合いも、浅煎りから深煎りまで幅広く対応できるオールラウンダーです。特に、バランスの取れたマイルドな味わいのブラジルやコロンビアの豆は、カリタで抽出するのがおすすめです。
重厚なメリタ、クリアなハリオV60。これらが真逆の立ち位置にあるからこそ、その中間レンジをカバーするのがカリタです。
淹れ方の基本

コーヒーを淹れる
初心者にとっては、とても敷居が高く、とてつもなく難しいもののように感じる工程です。
そして、コーヒーの淹れ方について、さまざまな情報があふれています。人によって、メディアによって、発信内容はさまざまです。
ここでお伝えしたいのは、「淹れ方に唯一の正解はない」ということ。
そもそも、「おいしい」とは主観であって、誰かに決められるものではないです。「おいしい」は他人が決めるのではなく、自分の味覚と向き合うものです。
しかし、淹れ方は自分で調整できる要素が多すぎるため、初心者は毎回違った味わいになってしまいがち。そして、「この前と味が違う…」と悩んでしまうのです。
- 豆の挽き方
- 豆とお湯のバランス
- お湯の温度
- お湯を注ぐタイミング、回数
- 抽出にかける時間
など
技術がないのは当たり前。そこで悩むのはもったいない。
基本的な淹れ方をおさえておけばOK!味を調整するのは、ドリッパーにお任せしましょう。初心者だからこそ道具に頼ってムダに悩まず、楽しみましょう。
前置きが長くなりましたが、淹れ方の基本について説明していきます。
コーヒーを淹れる準備【お湯を注ぐ直前まで】
準備段階として、お湯を注ぐ直前までにすべきことを順に説明します。
- お湯を沸かす
- コーヒー豆を計る
- 計ったコーヒー豆を挽く
- ドリッパーをセットする
お湯を沸かす(90℃くらい)

はじめに、お湯を沸かします。高温すぎると、雑味やえぐ味といった、ネガティブな味も抽出してしまいます。90℃を目安に準備しましょう。
注ぎ口が細いケトルであれば、非常に使い勝手がいいです。また、温度計があると再現性が高くなるので、ぜひ準備することをおすすめします。
コーヒー豆を計る
コーヒー豆の量とお湯の量は、出来上がりの味を大きく左右します。ぜひともスケールで計るようにしましょう。ドリップ用のスケール(重さと時間が計れる)は高価なので、安価なキッチンスケールで十分です。
ちなみに、焙煎度合いや豆の大きさ等によりばらつきはありますが、「メジャースプーン」によって計ることも可能です。
主要3社のメジャースプーン
メーカー | すり切り1杯 |
---|---|
ハリオ | 約12g |
カリタ | 約10g |
メリタ | 約8g |

計ったコーヒー豆を挽く

前の工程で計ったコーヒー豆を挽きます。粗さは中挽きを狙いましょう。お店で挽いてもらう場合には、「中挽き」や「ペーパードリップ用」と伝えましょう。
細かくなりすぎると、雑味やえぐ味などが抽出されやすくなります。おいしさを損なう原因ですので、メッシュ(挽いた豆の粒度)には十分に気を付けましょう。
補足情報(タップして読む)
珈琲きゃろっとの「初回限定お試しセット」を注文すると、挽き目(メッシュ)のサンプルが付属品としてついてきます。文字通り”実物大”でサンプルを保管し続けられるので、初心者に優しいサービスだと感じました。

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一般的に紹介される中挽きよりも、少し粗めかもしれません。しかし、細かくなりすぎは過抽出(=雑味、えぐみ、収斂性のある酸味など)の原因です。こうしたリスクを考え、少し粗目に引くのをおすすめしています。
ドリッパーをセットする
コーヒーサーバーまたはカップの上にドリッパーを乗せ、ペーパーフィルターをドリッパーにセットします。この時、コーヒーフィルターの継ぎ目は折り、ドリッパーにフィットさせます。
円錐型


台形型



どこまでやるかは人それぞれ
- ドリッパーとカップを温める
- ペーパーフィルターをリンス(湯通し)する
- ドリッパー純正のサーバーを使う
雑誌やメディアでは、上記のようなことが言われることもあります。
初心者のうちは(というか、めんどくさければ)やる必要はない、というのが個人的な考えです。器具が冷たいとか、ペーパーフィルターの雑味やにおいが原因で、コーヒーの風味が格段に落ちた実感はありません。
そんなに気負わなくて大丈夫。
コーヒーを淹れる【お湯を注ぐところから】
いよいよ、お湯を注ぐ段階です。
なお、「コーヒー粉20g / お湯300cc」として説明します。ほんの少し条件が変わるだけで、味わいは大きく変化します。1杯分だと量が少なくコントロールがシビアなため、余裕を持った2杯分の抽出がおすすめです。
ペーパードリップの手順
静かにゆっくりと粉全体にお湯をかけ(約50cc)、30秒待つ。



約100ccを目安に、ゆっくりとお湯を注ぐ(1湯目との合計で150cc程度)。もっとも成分を抽出できるところ。


2湯目が落ち切ったら、100ccを目安にお湯を注ぐ。


3湯目が落ち切る前に、残りのお湯(約50cc)を注ぐ。時間をかけすぎると、雑味まで抽出してしまうので注意。

以上が基本の淹れ方です。この方法で入れたコーヒーの味をもとに、お湯の温度や挽いた豆の粒度、抽出時間などを調整していきます。

調整方法については、下記記事で詳しく解説しています。「どうもうまくいかないな…」とお悩みの方は、ぜひ参考にしていただければと思います。「挽き方・温度・時間」の関係性を理解できると、味のレベルがぐっと上がります。
関連記事>>>【初心者向け】なぜ自分で淹れたコーヒーがまずいのか?その原因とおいしく淹れる方法を解説!
繰り返しですが、ペーパードリップには唯一無二の正解があるわけではありません。基本を押さえつつ、試行錯誤することも含めて楽めれば最高です。
とにかく楽しみながら試してみよう!
以上、おうちコーヒー初心者におすすめのドリッパーを3つ紹介しました。また、基本となる淹れ方についても、丁寧に解説してきました。
何よりも、気持ちが折れずに続けられることが何よりも大切かなと思います。気負わず、考えすぎず、楽しみながら、たくさん試していきましょう!
初心者におすすめのドリッパー
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