ドリッパーの種類が多すぎて、何を選べばいいかわからない…
ドリッパーを選ぶポイントと、初心者におすすめのドリッパーを紹介します!
自宅で豆からコーヒーを淹れるときには、ドリッパーが必要です。しかし、ドリッパーには数多くの種類がありすぎて、初心者にとってはドリッパーを選ぶだけでも大変な労力が必要です。
▼ 34個おすすめされても選べない…
ついつい、デザインや知名度、価格などで購入してしまいがちなドリッパー。しかし実は、ドリッパーが変わればコーヒーの味わいに影響を及ぼします。だからこそ、抽出の技術が安定しない初心者にとってはドリッパー選びが重要なのです。
そこで、コーヒーソムリエの資格を持つ筆者が、初心者が持つべきドリッパーを3つに的を絞って紹介します。この3つがあれば、初心者でもおいしいコーヒーが自宅で味わえます!
- 日本安全食料料理協会(JSFCA)認定
コーヒーソムリエ - 日本技能開発協会(JSADA)認定
コーヒープロフェッショナル - 年間2,500杯分以上コーヒーを
淹れる人
- 日本安全食料料理協会(JSFCA)認定
コーヒーソムリエ - 日本技能開発協会(JSADA)認定
コーヒープロフェッショナル - 年間2,500杯分以上コーヒーを淹れる人
コーヒーの味を決める3つの要素
コーヒーの味わいや風味を決める要素は、大きく分けて3つ。その中でも、ドリッパーの違いは「③淹れ方」に関係します。
①コーヒー豆の個性
コーヒー豆の個性は、種類や産地、精製方法の違いなどによって決まります。
さらに、豆の大きさや栽培された地域の標高などによって等級が決められるものや、品評会などで特に高評価を得たもの(=スペシャルティコーヒー)があります。
産地による味わいの違い
精製方法による違い
【関連記事】
コーヒー豆の精製方法4種類を解説|風味や味わいを左右する大事な要素
②焙煎度合い
コーヒー豆の個性や魅力を引き出すためには、その豆に合った焙煎をすることが重要です。浅煎りであるほど酸味が強く、深煎りになるほど苦味が強くなります。
一般的に、イルガチェフェ(エチオピア)やゲイシャ(パナマ)のように、フルーティーさが個性の豆は浅煎りが適しています。一方、マンデリンやグアテマラは深めの焙煎度合いに適性があります。
さらに、幅広い焙煎度合いに対応する豆もあります。例えばケニアは、浅煎りだと明るく爽やかな酸味が、深煎りでは深いコクと優しい甘さが楽しめます。
③ドリッパーも大きく影響を与える「淹れ方」
同じコーヒー豆でも、淹れ方の違いによって風味は変化します。「淹れ方」とは、正確に言うとコーヒーを淹れる際の条件のことであり、次の4項目がとくに大きく影響します。
- 抽出方法
- 挽き方(粉の粒度、メッシュ)
- お湯の温度
- 抽出時間
この中でも、ドリッパーの違いは「抽出時間」に大きく関係します。同じ量のお湯を同じように注いでも、穴の大きさや数、形状の違いなどの影響によって抽出スピードが変化します。この違いによって、透明感を際立たせたり、柔らかい甘みを表現したりすることができるなど、繊細にデザインすることが可能です。
初心者が持つべきおすすめのドリッパー3選
コーヒーソムリエの資格を持つ筆者が初心者におすすめするドリッパーは、メリタ、カリタ、ハリオV60の3つです。
個別のドリッパーについて詳細を説明する前に、基本的な傾向を整理しましょう。
形状
- 円錐型
-
- お湯の抜けが早い
- スッキリとした味わい
- 台形型
-
- お湯の抜けがゆっくり(安定的)
- どっしりとした味わい
穴の大きさや数
- 大きい or 数が多い
-
- お湯の抜けが早い
- スッキリとした味わい
- 小さい or 数が少ない
-
- お湯の抜けがゆっくり(安定的)
- どっしりとした味わい
「メリタ」は深煎りの豆と相性がいい
メリタはもっとも初心者におすすめのドリッパーといえます。
メリタは台形型で、小さい穴が1つ。そのため、お湯が抜けていくスピードは一定です。味が安定しやすくなり、「淹れるたびに味が違う…」という悩みを解決してくれます。
また、お湯の抜けるスピードはゆっくりで、コーヒーとお湯が触れる時間が長いのも特徴のひとつ。どっしりとした味わいに仕上がり、また、優しい甘みも引き立たせてくれるため、深煎りの豆との相性は抜群です。
浅煎りの豆には「ハリオV60」(円錐型)
次に紹介するのが、ハリオV60。大げさに言うと、先に紹介したメリタとは真逆のポジションにあるドリッパーで、お湯の抜けが早いのが特徴です。
円錐型のハリオV60は、中心に穴が開いています。穴の数こそメリタと同じ1個ですが、その大きさの違いは一目瞭然。大きな穴です。
また、深く長いリブ(=溝)によって、ドリッパーにペーパーフィルターが密着しないように設計されています。これによって、お湯の抜けはさらによくなります。
手早く抽出することで、きれいな酸味とクリアな味わいを引き出しやすいようにデザインされています。そのため、浅煎りの豆とは相性が抜群です。
浅煎りの豆が持つ特有のフルーティーで爽やかな風味を表現したいなら、ハリオV60はマストアイテム。クリアで透明感のあるすっきりとした味わいは、他ではなかなか表現しきれないと思います。
ただし、良くも悪くも、メリタと真逆。味わいが安定しているメリタに比べ、ハリオV60は狙い通りの味にするには繊細な調整が必要な面もあります。とはいえ、後述する「淹れ方の基本」をおさえて経験を積めば問題ありません。
▼よく似た特徴を持つ「ORIGAMI(オリガミ)」
オールラウンダーの「カリタ」(台形型、3つ穴)
日本で最もポピュラーなドリッパーといっても過言ではないのが、カリタ。ドリップする際に「の」の字でお湯を注ぐスタイルは、カリタが最初に提唱したと言われています。
カリタは台形型で、小さな穴が3つ横一列に並んでいます。
カリタは、じっくり抽出するメリタと、手早くクリアに仕上げるハリオV60の中間のポジション。そのため、バランスの取れた味わいに仕上がります。
焙煎度合いも、浅煎りから深煎りまで幅広く対応できるオールラウンダーです。特に、バランスの取れたマイルドな味わいのブラジルやコロンビアの豆は、カリタで抽出するのがおすすめです。
重厚なメリタ、クリアなハリオV60。これらが真逆の立ち位置にあるからこそ、その中間レンジをカバーするのがカリタです。
ドリッパーの数だけ「哲学」がある
コーヒー豆は生産者が、焙煎は焙煎士が、それぞれこだわりを持って作っています。
ただし、最後にコーヒーを仕上げるのは自分です。
初心者に技術がないのは当然。
経験や知識がないのも当たり前。
だからこそ…
初心者こそ道具の力を借りるべし
各メーカーで出しているドリッパーは、「こんな味わいのコーヒーを楽しんでほしい」という想いを起点に、それぞれが蓄積してきたノウハウを結集して作り上げてきました。
まずは、この記事で紹介した3つのドリッパーがあれば、どんなコーヒーでも対応できるはず。試行錯誤を楽しみながら、好奇心をエンジンにしながらどんどん試してみてください!
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