コーヒーといえば、真っ先に思い浮かぶ国がブラジル。世界最大のコーヒー産出国で、世界総生産量の1/3以上ものコーヒーを生産しています。
2022年 コーヒー豆の生産量(上位5か国)
順 位 | 国 名 | 生産量(トン) |
---|---|---|
1 | ブラジル | 3,172,562 |
2 | ベトナム | 1,953,990 |
3 | インドネシア | 794,762 |
4 | コロンビア | 665,016 |
5 | エチオピア | 496,200 |
この記事では、コーヒーソムリエの資格を持つ筆者が、ブラジルのコーヒー豆の特徴や歴史などについて詳しく解説します!
- 日本安全食料料理協会(JSFCA)認定
コーヒーソムリエ - 日本技能開発協会(JSADA)認定
コーヒープロフェッショナル - 年間2,500杯分以上コーヒーを
淹れる人
- 日本安全食料料理協会(JSFCA)認定
コーヒーソムリエ - 日本技能開発協会(JSADA)認定
コーヒープロフェッショナル - 年間2,500杯分以上コーヒーを淹れる人
ブラジル産コーヒーの特徴
ブラジル産コーヒーの特徴は、なんといってもそのバランスの良さ。多くの人にとって落ち着く香味で、スタンダードな安心感があります。
- 程よい苦味と酸味
- クセがなくすっきりした後味
- ナッツやチョコレートをイメージさせる香ばしい風味
はじめてコーヒー豆を買う方や、どんな味のコーヒーが好みなのかわからない方は、ブラジル産のコーヒーを選べば間違いありません。
精製方法について
ブラジルで生産されるコーヒー豆のほとんどが、伝統的なナチュラル(天日干し)、または1990年代から導入されたパルプド・ナチュラルという方法で精製されています。
関連記事 >>> コーヒー豆の精製方法4種類を解説|風味や味わいを左右する大事な要素
ブラジル産コーヒーに適した焙煎度合いについて
中煎りから深煎りまで幅広く対応し、ナッツやチョコレートの風味を感じられます。ただし、酸味が控えめなので、浅煎りでは豆の魅力を十分に活かしきれない傾向があります。
ブラジル産コーヒー豆の個性を活かすには、シティロースト以上の焙煎度合いがおすすめです。
「スタンダードなコーヒー」としての存在感
ブラジル産のコーヒー豆は、バランスがよく他の豆ともよく調和がとれることから、ブレンドのベースとしてよく使われます。
また、その味わいが「スタンダード」だからこそ、初心者が最初に飲むコーヒーとして最適です。ブラジル産のコーヒーを基準にして、味わいやフレーバーなどを比較することで、よりコーヒーが楽しくなります。
関連記事 >>> 【初心者向け】おうちコーヒーの始め方|おいしく、たのしく、のんびりと
ブラジル産コーヒー豆の等級について
他の国に比べ大規模な農園が多く、世界一の生産量を誇るブラジル。一定の基準を満たす品質のコーヒーと低品質のコーヒーを等級によって仕分けし、低品質なコーヒーが輸出されないように管理しています。
ブラジルのコーヒー豆は、次の3つの指標によって仕分けられます。
- 欠点数
- スクリーンサイズ
- カップ(味)
欠点数
300gあたりに含まれる欠点豆(=できの悪い豆)や遺物などの混入割合を基準に、グレードを仕分けます。
No.2がもっとも高品質で、数字が大きくなるほどグレードが下がります。なお、No.1グレードが設けられていないのは、「欠点がないことはあり得ない」というのがその理由だと言われています。
グレード | 欠点数 |
---|---|
No.2 | 4以下 |
No.3 | 5~8 |
No.4 | 9~26 |
No.5 | 27~46 |
No.6 | 47~86 |
No.7 | 84~160 |
No.8 | 161~360 |
スクリーンサイズ
スクリーンサイズとは、生豆の大きさを表します。
スクリーンとは”ふるい”のことで、ふるいの目の粗さを基準に仕分けます。大きい豆ほど高品質とされ、もっとも大きい「スクリーンサイズ20」は約8mmの大きさです。
スクリーンサイズ | 大きさの目安(単位mm) |
---|---|
20 | 8mm |
19 | 7.5mm |
18 | 7mm |
17 | 6.5mm |
16 | 6mm |
15 | 5.5mm |
14 | 5mm |
13 | 4.5mm |
カップ
口に含んだときの味わい(=カップ)によって、次の6つの基準で仕分けします。
- ストリクトリー・ソフト(Strictly Soft)
-
十分になめらかで甘味がある
- ソフト(Soft)
-
なめらかで甘味がある
- ソフティッシュ(Softish)
-
あまり甘みを感じない
- ハード(Hard)
-
刺激を感じる
- リオイ(Rioy)
-
やや不快な刺激がある
- リオ(Rio)
-
不快な刺激がある
以上、「欠点数」「スクリーンサイズ」「カップ」のグレーディングを組み合わせることで、次のように表記します。
ブラジル No.2 スクリーン18/19 ソフト
なお、輸出できるのは欠点数はNo.6以上、スクリーンサイズは16以上とされています。あまりにも低品質な豆が流通するのを防ぎ、ブラジル産コーヒーの評価が下がらないようにしています。
ブラジルコーヒーの歴史
ブラジルにおけるコーヒー栽培の始まり
1727年、フランス領ギニアから持ち込まれたのが始まりとされています。当時のエピソードには、次のような言い伝えがあります。
外交使節団としてフランス領ギニア渡ったフランシスコ・デ・メロ・パリエッタは、当地の総督夫人(ファーストレディ)と懇意になった。彼が帰国する際、彼女からコーヒーの種子を忍ばせた花束を受け取っていた。
これはつまり、”密輸”していたということを意味します。今でこそ世界の1/3以上の生産量を誇る産業の始まりが、じつは密輸だったかもしれないというのは、興味深い話です。
「コーヒー大国」と呼ばれるまで
当初、コーヒー豆の生産は、国内で消費される程度でした。しかし、19世紀当初からは奴隷制度を背景に、大規模な農園で商業栽培が急速に発展しました。
その後、1888年に奴隷制度は廃止されますが、それでもなお順調に生産量を増やし続けます。1920年代には、世界の総生産量の80%を占めたこともありました。
現在のすがた
世界市場シェアの1/3以上を占めており、コーヒー大国としての地位を揺るがないものとしています。大規模農園が多数存在する一方、品質にこだわる小規模な農家も存在します。
1999年には、世界で初めて「カップ・オブ・エクセレンス」が開催されました。
その年に収穫されたスペシャルティコーヒーの品評会のこと。英語の頭文字をとって「COE(Cup of Excellence)」と呼ばれることも。
常備しておきたい安定の味
ブラジルコーヒーの特徴は、なんといってもバランスの良さです。
生活の一部に取りいれてみてはいかがでしょうか。
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