エルサルバドル産コーヒーの特徴|バランスのいい味わいとクリーンな後味

1975年には世界第3位の生産量を誇ったかつてのコーヒー大国、エルサルバドル。

長期にわたる内戦やさび病の流行など、コーヒー産業の急激な衰退を経験した同国。しかし近年、国際的な品評会などで高い評価を得るなど、復活を期待させる動きがみられます。

再び注目が高まるエルサルバドル産のコーヒーについて、その特徴などを見ていきましょう。

この記事を書いた人
コーヒーソムリエ②
もじゃ
  • 日本安全食料料理協会(JSFCA)認定
    コーヒーソムリエ
  • 日本技能開発協会(JSADA)認定
    コーヒープロフェッショナル
  • 年間2,500杯分以上コーヒーを
    淹れる人
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コーヒーソムリエ②
もじゃ
  • 日本安全食料料理協会(JSFCA)認定
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  • 日本技能開発協会(JSADA)認定
    コーヒープロフェッショナル
  • 年間2,500杯分以上コーヒーを淹れる人
目次

エルサルバドル産コーヒーの特徴

土居珈琲のきれいな豆

エルサルバドルのコーヒーは、ほどよいボディ感と優しい甘み柔らかな酸味が特徴。全体としてバランスがよく、マイルドで飲みやすいコーヒーです。

コーヒーソムリエ

さわやかでクリーンな後味も印象的です

>>> おすすめのエルサルバドル産コーヒー豆を見る

エルサルバドル産コーヒー豆の精製方法

代表的な精製方法の特徴

エルサルバドルで採用されている精製方法は、ウォッシュドのほか、ハニープロセスが多く採用されています。ハニープロセスは中南米で盛んで、特にコスタリカが有名です。

ウォッシュド

コーヒーチェリーの果肉部分を水で除去してから乾燥させます。すっきりとしたクリアな味わいに仕上がります。

ハニープロセス

コーヒーチェリーの果肉の一部を残したまま乾燥させます。果肉の風味が残り、果実感や甘みを感じます。

関連記事>>>コーヒー豆の精製方法4種類を解説|風味や味わいを左右する大事な要素

エルサルバドル産コーヒー豆の等級は標高で決まる

等 級生育条件
SHG
(ストリクトリー・ハイ・グロウン)
標高1,200m以上
HG
(ハイ・グロウン)
標高900~1,200m
CS
(セントラル・スタンダード)
標高600m~900m
エルサルバドル産コーヒー豆の等級

エルサルバドルで生産されるコーヒー豆は、栽培された標高の高さで等級分け(グレーディング)されます。

標高による等級分けは、グアテマラなど中南米の国で採用されている方法です。

関連記事>>>グアテマラ産コーヒー豆の特徴

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エルサルバドル産コーヒー豆は希少性が高い品種

エルサルバドルの品種

エルサルバドルで作られているコーヒーは、風味豊かなアラビカ種です。

エルサルバドルでは、アラビカ種の中でも流通量が少ない「ブルボン」という希少価値が高い品種が、生産量の60%以上を占めます。

そのほか、エルサルバドルで発見された突然変異種の「パカス」、そのパカスとマラゴジッペを掛け合わせた「パカマラ」が主な品種です。

「アラビカ種」の詳しい説明を見る

コーヒーは、大きく分けてアラビカ種ロブスタ(カネフォラ)種リベリカ種の3種類(コーヒーの三大原種)に分けることができます。

その中で最も風味が豊かでおいしいのが、アラビカ種です。

アラビカ種

もっとも風味豊かでおいしい。しかし、病虫害に弱く生産性も低い。

ロブスタ種(カネフォラ種)

病虫害に強く生産性も高いが、苦味が強くおいしくない。

リベリカ種

ほとんど流通しておらず(世界全体で1%以下)、そのほとんどがヨーロッパで消費される

希少価値が高い「ブルボン」

しっかりとした甘みとコクがあり、豊かな風味が特徴的です。ブルボンはアラビカ種の中でも、ティピカと並んで2大優良品種のひとつで、多くの品種が派生しています。

ブルボンから派生した品種

  • パカス
  • カツーラ
  • ムンドノーボ
  • SL28
  • SL34

など

豆のサイズは小ぶりで病虫害に弱く、なおかつ隔年収穫(2年に1回)であり、生産性は高くありません。そのため、流通量は少なく、在来種であるブルボンは希少価値が高い品種です。

エルサルバドルで発見された「パカス」

エルサルバドルで発見された、ブルボンの突然変異種です。風味は、ブルボンに似て良質です。

パカスはブルボンよりも樹高が低く、管理や収穫がしやすいのが特徴。また、チェリーが早く完熟するため、生産性が高いことも生産者にとっては利点です。

品評会で上位に入賞する「パカマラ」

ブルボンの突然変異種であるパカスと、大粒の種子が特徴的なマラゴジッペを交配させてできたのが「パカマラ」。エルサルバドルの国立コーヒー研究所で開発されました。

パカスの特徴である樹高の低さと、マラゴジッペ特有の大きな種子(=コーヒー豆)、そして風味の良さも引き継がれた品種です。

Cup of Excellence(=COE、国際的な品評会)で、上位に入賞することも増え、知名度が高まっています。

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エルサルバドルはコーヒー栽培に適した環境

エルサルバドルは、グアテマラおよびホンジュラスと国境を接する中南米の国。

四国より少し大きいくらいの小さな国土の中に、なんと20以上の火山があります。

火山性の土壌はミネラルが豊富で水はけもよく、コーヒーが生育するのに適しています。

雨季と乾季があり、年間平均降水量は1,700ミリ~2,000ミリで、気候的にもコーヒーの生育にとって適した条件がそろっています。

首都サン・サルバドルの西側にあるサンタ・アナ火山付近は、品質が高いコーヒーを生み出すことで知られています。

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エルサルバドルにおけるコーヒーの歴史

1740年

コーヒーが上陸

1850年代

商業目的のコーヒー生産が始まる

1880年

生産量が世界第4位

1940年

輸出の90%をコーヒーが占める

1975年

生産量が世界第3位

1980年頃

コーヒー産業が急激に衰退

2012年

さび病の流行で収穫量は最盛期の1/10に

エルサルバドルにおけるコーヒー産業の隆盛期

エルサルバドルにおいて、商業を目的としたコーヒーの生産は1850年代に始まります。グアテマラと同じく、インディゴ(藍)に代わる換金作物を探していました。

その後、コーヒーの生産量・輸出量ともに右肩上がりで、1880年には世界第4位の生産国にまで成長します。コーヒーはエルサルバドルの産業をけん引する存在となり、国立のコーヒー研究所も設立されました。

1940年にはコーヒーが輸出額の90%を占め、1975年の生産量は世界第3位となりました(2020年は第25位)。

急激に衰退したコーヒー産業

1970年代中頃まで、コーヒーに関して世界でもトップランナーだったエルサルバドル。しかし、1970年代後半からは状況が一変します。

  • 長期にわたる内戦
  • 農地改革の失敗
  • 国立コーヒー研究所の閉鎖

こうした政治的な不安定さが大きな要因となり、コーヒー産業は急激に衰退していきます。国立コーヒー研究所が閉鎖されたことで、品種改良は行われず、指導者もいなくなってしまいました。

さらに、2012年にはさび病が流行します。その年の収穫量は、もっとも生産量多かった1979年の1/10にまで落ち込みました。

希少性と高付加価値化で復活へ

一時は最盛期の1/10まで落ち込んだ生産量も、近年では回復傾向にあります。同時に、「量より質」の戦略をとっており、Cup of Excellence(COE、国際的な品評会)で上位を取るコーヒー豆も輩出しています。

希少性の高いブルボン、そして高品質な「パカマラ」の生産地であるエルサルバドル。コーヒー大国の復活に向けて、今後の動きに注目です。

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おすすめのエルサルバドル産コーヒー豆

土居珈琲「エルサルバドル ラ・レフォルマ農園」

土居珈琲「エルサルバドル ラ・レフォルマ農園」
キレイに仕上げられた土居珈琲「エルサルバドル ラ・レフォルマ農園」のコーヒー豆

エルサルバドル産のコーヒー豆でおすすめなのが、土居珈琲「ラ・レフォルマ農園」です。

  • 100年以上続く由緒ある農園
  • 完熟したコーヒーチェリーのみを丁寧に手摘み
  • 2011年のCup of Excellenceにおいて3位入賞

上品な甘みと、グレープフルーツを思わせる爽やかな後味が特徴的なコーヒーです。そして、上の写真を見てのとおり、コーヒー豆はずっと眺めていられるほどキレイです。

エルサルバドルとグアテマラの豆が100gずつセットになった、「人気銘柄セット(初めてのセット)」もあります。レビューしていますので、興味がある方は是非ご覧ください! 

関連記事>>>土居珈琲「初めてのセット」をコーヒーソムリエがレビュー|口コミや評判も調査

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参考文献、外部リンク

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