コーヒー発祥の地として知られ、世界第5位の生産量を誇るエチオピア。
2022年 コーヒー豆の生産量(上位5か国)
順 位 | 国 名 | 生産量(トン) |
---|---|---|
1 | ブラジル | 3,172,562 |
2 | ベトナム | 1,953,990 |
3 | インドネシア | 794,762 |
4 | コロンビア | 665,016 |
5 | エチオピア | 496,200 |
エチオピア産コーヒー豆の華やかな香りとフルーティーさは、唯一無二。1974年、世界で初めて「スペシャルティコーヒー」について語られたとき、その具体例として名前があがったのがエチオピアのイルガチェフェでした。
それまで持っていたコーヒーの概念が覆るほど、魅力にあふれるエチオピアのコーヒー。味わいの特徴やコーヒー栽培の歴史、おすすめのコーヒー豆を紹介します。
- 日本安全食料料理協会(JSFCA)認定
コーヒーソムリエ - 日本技能開発協会(JSADA)認定
コーヒープロフェッショナル - 年間2,500杯分以上コーヒーを
淹れる人
- 日本安全食料料理協会(JSFCA)認定
コーヒーソムリエ - 日本技能開発協会(JSADA)認定
コーヒープロフェッショナル - 年間2,500杯分以上コーヒーを淹れる人
エチオピア産コーヒー豆の特徴
エチオピアでは、山や裏庭などに自生しているコーヒーノキからもコーヒーチェリーを収穫しています。品種も実に多様で、なんと1,000種類以上にも及ぶと言われています。
エチオピアのゲシャ村をルーツに持つ「ゲイシャ」など特定されたものもありますが、多くの場合は「エチオピア原種」や「在来種」としてひとくくりに扱われます。
エチオピア特有の華やかな香り
- ジャスミン
- ワイン
- スパイス
- シトラス
- フローラル
など
エチオピア産のコーヒー豆の香りを例える際、こうした表現が多くなされます。甘く華やかな香りは、「世界最高峰の香り」と称されます。
フルーティーで爽やかな酸味
甘く華やかな香りに加え、柑橘系を思わせる爽やかな酸味があります。
とてもフルーティーでみずみずしく、紅茶を思わせるような質感。苦味やコクは控えめで、最後に甘い余韻が残ります。
伝統的なナチュラルは芳醇、近年増えてきたウォッシュドは繊細
エチオピア産のコーヒー豆は、天日干しでコーヒーチェリーを乾かす「ナチュラル」という伝統的な方法で精製されるのが主流です。そのため、華やかな香りはより際立ち、芳醇な味わいが生まれます。
しかし最近では、コーヒーチェリーを水で洗って精製する「ウォッシュド」も増えてきました。クリアさや繊細なニュアンスが強調されるため、まるで紅茶のような質感です。
ナチュラルは赤ワイン、
ウォッシュドは白ワイン
ざっくりとしたイメージですが、このように覚えておくと特徴をつかみやすいです。
関連記事>>>コーヒー豆の精製方法4種類を解説|風味や味わいを左右する大事な要素
エチオピア産コーヒー豆のおいしい淹れ方
エチオピアの豆は、とにかく素晴らしい個性を持っています。豆の個性や特徴が前面に出やすい、浅めの焙煎(ミディアムロースト~ハイロースト)がおすすめです。
さらにフレンチプレスで淹れれば、豆が持つ個性を余すことなく感じることができます。
浅煎りのイメージが強いエチオピアですが、じつは深めに焙煎しても抜群においしい!深く焙煎すると、爽やかな酸味は甘みやコクへと変化し、落ち着きのあるどっしりとした質感になります。
記事の後半で紹介するおすすめのコーヒーでは、浅煎りと深煎りを飲み比べできるTAILORED CAFE(テイラードカフェ)を取り上げました。エチオピアの深煎りを飲んだことがない方、ぜひ、お試しください!
ブレンドするなら苦味の強い品種とあわせる
エチオピア産のコーヒー豆は苦味が弱いため、苦味の強いコーヒー豆とブレンドされることがあります。
有名なのは、ジャワ島のロブスタ種(苦味の強い品種)とブレンドした「モカ・ジャバ」。そのほか、マイルドな味わいが特徴のブラジルやコロンビアとの相性は抜群です。
かつて、エチオピア産のコーヒー豆は、イエメンの「モカ港」から輸出されていました。その名残から、エチオピア産コーヒー豆をモカと呼ぶことがあります。
エチオピア産コーヒー豆の主な産地
エチオピアはアフリカ大陸にあり、その国土面積は日本の約3倍。国土の大部分がエチオピア高原を中心とした高地であり、ミネラルが豊富な火山性土壌でおおわれています。
地理的にもコーヒーの栽培に適したエチオピア。エチオピア産のコーヒー豆は、栽培した地域の名前で流通します。主要な産地は、「シダモ」「イルガチェフェ」「ハラー(ハラール)」の3つです
シダモ
- エチオピア南部の地域
- 標高1,400m~2,200m
- フルーティーで香り高い
イルガチェフェ
- シダモ地方の「イルガチェフェ」という地域
- 標高1,750m~2200m
- ベリーやワイン、花の香に例えられるほど華やかな香り
- シトラスなど柑橘系の酸味
ハラー(ハラール)
- エチオピア中東部
- 標高1,500m~2,100m
- 風味は甘いワインやブルーベリー、カシスに例えられる
エチオピア産コーヒー豆の品質
香り高さやフルーティさなど、唯一無二ともいえる品質を持つエチオピアのコーヒー。人気も高く、多くの愛好家がいます。
ここでは、品質を左右する生産方法と、グレードについて詳しく見ていきましょう。
エチオピア産コーヒーの生産方法
エチオピア産のコーヒー豆は、「個性的」「野性的」と表現されます。その要因は、生産方法に秘密があります。
エチオピアでは、自生しているコーヒーノキから収穫しているものがあるのです。
エチオピアにおける生産方法
- フォレスト
-
- 自生したコーヒーの木から収穫する
- 主にエチオピア西部の地域
- 生産性・品質ともに高くないが、その不確実性ゆえに驚くべきポテンシャルを持つものが見つかることも
- ガーデン
-
- 居住地周辺に植えたコーヒーの木から収穫する
- 刈込みや肥料の使用など、手入れを行う
- エチオピアにおけるメインの生産方法
- プランテーション
-
- 整備された農場で、集中的・集約的に生産する
- 他国と同様に、標準的な農法が用いられる
エチオピア産コーヒー豆のグレード
エチオピア産のコーヒー豆は、G1~G8までの8段階にグレーディング(等級分け)されます。そのうち、日本へ輸入されるのはG1~G4です。
グレードは、生豆300gの中に含まれる欠点豆(=できの悪い豆)の混入数で決まります。
グレード | 欠点数(個) |
---|---|
G1 | 0 ~ 3 |
G2 | 4 ~ 12 |
G3 | 13 ~ 25 |
G4 | 26 ~ 46 |
エチオピアにおけるコーヒーの歴史・文化
エチオピアは、アラビカコーヒーが発見された”コーヒー発祥の地”として有名です。また、「コーヒー・セレモニー」という、日本でいうところの茶道に似た習慣もあります。
【関連記事】コーヒーの歴史|1杯のコーヒーへとつながる壮大な物語
カルディの伝説
エチオピアの若い羊飼いカルディは、羊が赤い実を食べたあと、異常に活発になるのを見つけました。さらにその後、カルディ自身もその実を試したところ、とても陽気な気分になりました。
これが、エチオピアでコーヒーが発見されたとされる「カルディの伝説」です。コーヒーショップの名前にもなっているので、名前を聞いたことがある人は多いと思います。
この話自体はあくまでも伝説であり、史実ではないとされています。しかし、キリスト教徒やイスラム教徒が残した資料からは、9世紀ころのエチオピア西南部でコーヒーを利用する部族と出会ったことがうかがい知ることができます(旦部幸弘著『珈琲の世界史』)。
生活と強く結びつく「コーヒーセレモニー」
エチオピアには、「コーヒーセレモニー」(「ブンナセレモニー」)という習慣があります。来客をもてなす際に行う儀式で、日本の茶道とも通ずる文化です。
既婚の女性が執り行うものとされており、コーヒーセレモニーに使われる道具は代々受け継がれることもあります。
大まかな手順
- 部屋に花や合う草を敷いて香をたく
- 炉にかけた鉄鍋で生豆を煎る
- 煎りたての豆を客に回して香りを愉しむ
- 豆を臼と杵で粉状態にする
- ジェベナと呼ばれるポットでコーヒーの粉をに出す
- 沸騰したらカップに注ぎ振る舞う
- ポップコーンなどをおやつにしながら、3杯飲む
生豆を煎るところから始めるため、1時間以上かけてゆったりと行う儀式です。
エチオピアの人々にとってコーヒーとは、嗜好品としてだけでなく「コミュニケーションツール」としても、生活に欠かせないものとなっていることがうかがい知れます。
おすすめのエチオピア産コーヒー豆【浅煎りと深煎りを飲み比べ】
コーヒーソムリエの資格を持つ筆者がおすすめするエチオピア産コーヒー豆は、TAILORED CAFE(テイラードカフェ)で取り扱っています。
おすすめするポイントは、精製方法の違い(ナチュラルとウォッシュド)、浅煎りと深煎りの飲み比べを高品質な豆で体感できるからです。
この品質とこの価格で飲み比べができるサービスは、他にはなかなかありません。
ナチュラル | ウォッシュド | |
---|---|---|
浅煎り | ゴティティ | イルガチェフェ ベレカ |
深煎り | コチェレ | イルガチェフェ ベレカ |
【関連記事】コーヒー豆の精製方法4種類を解説|風味や味わいを左右する大事な要素
テイラードカフェでは、毎月3種類のコーヒー豆をお得に購入できるサブスクもあります。もちろん豆を指定することができるので、組み合わせは毎月変えられます。
ナチュラルとウォッシュドの違い、浅煎りと深煎りの違いなど飲み比べて、違いを楽しんでみてください。
飲み比べは、コーヒーの理解が一気に進みます!
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参考サイト・参考図書
- ビジュアル スペシャルティコーヒー大事典 2nd Edition (日経ナショナルジオグラフィック社)
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