【定番のキリマンジャロ】タンザニア産コーヒーの特徴|酸味の浅煎り、コクの深煎り

「キリマンジャロ」の名で知られる、タンザニア産のコーヒー。

キリマンジャロは、ブルーマウンテンやモカと並んでコーヒーの定番として古くから親しまれてきました。インスタントコーヒーや缶コーヒーなどでも目にする機会が多い名前で、日本人にとってはなじみのある銘柄です。

2022年 コーヒー豆の生産量(抜粋)

順 位国 名生産量(トン)
1ブラジル3,172,562
2ベトナム1,953,990
3インドネシア794,762
4コロンビア665,016
5エチオピア496,200
19タンザニア67,200
GLOBAL NOTE「世界のコーヒー豆 生産量 国別ランキング・推移」より抜粋

生産量は世界第17位(2021年)と、とくに多いわけではありません。しかし、日本向けに輸出される割合は高く、タンザニアで生産されるコーヒーの約2割(13,524t)にも達します。その量はなんと、コスタリカケニアの約10倍(全日本コーヒー協会、2021年)。

参考 >>> 日本のコーヒー生豆の国別輸入量・単価(全日本コーヒー協会)

日本ではブランドとして確立した地位を得ているタンザニア産のコーヒーについて、その特徴や歴史をコーヒーソムリエが詳しく解説します。

タンザニア産コーヒーをより楽しむため、おすすめのコーヒー豆も紹介しています。興味のある方はぜひお試しください!

この記事を書いた人
コーヒーソムリエ②
もじゃ
  • 日本安全食料料理協会(JSFCA)認定
    コーヒーソムリエ
  • 日本技能開発協会(JSADA)認定
    コーヒープロフェッショナル
  • 年間2,500杯分以上コーヒーを
    淹れる人
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コーヒーソムリエ②
もじゃ
  • 日本安全食料料理協会(JSFCA)認定
    コーヒーソムリエ
  • 日本技能開発協会(JSADA)認定
    コーヒープロフェッショナル
  • 年間2,500杯分以上コーヒーを淹れる人

目次

タンザニアについて

タンザニアは東アフリカに位置し、品質の高いコーヒーの産地として知られるケニアやルワンダなどと国境を接しています。日本の約2.5倍(94万5千㎢)の広さがあり、タンザニアにおいてコーヒーは主要な輸出品目のひとつです。

ケニアとの国境部(北東部)には、アフリカ大陸の最高峰キリマンジャロ山(5,895m)があります。また、世界遺産のセレンゲティ国立公園もあります。ヌー大移動は有名ですが、そのほかにもライオン、ゼブラ、ガゼル、ゾウなど、数多くの野生動物が生息している、野性的な魅力にあふれた国です。

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「キリマンジャロ」とはタンザニアで生産されるアラビカ種のコーヒーのこと

悩む人

「キリマンジャロ」と「タンザニアコーヒー」は、どう違うの?

コーヒーソムリエ

基本的に「どちらも同じ」です!

全日本コーヒー公正取引協議会は、「産地、品種、銘柄の区分及び範囲の例示」として次のように示しています。

キリマンジャロ : タンザニアにて生産されたアラビカコーヒー豆をいう。ただし、ブコバ地区でとれるアラビカコーヒー豆は含まない。

レギュラーコーヒー及びインスタントコーヒーの表示に関する公正競争規約施行規則」(全日本コーヒー公正取引協議会)

つまり、キリマンジャロ山から離れていても、ブコバ地区以外で生産されたコーヒーであれば「キリマンジャロ」と名乗っていいのです。

なお、ブコバ地区で生産されたものが除外される理由は、非水洗式(ナチュラル)で精製するため。タンザニアでは、水洗式(ウォッシュド)で精製するのが一般的です。品質の均一性を担保するため、非水洗式の豆を除くことにしています。

関連記事 >>> コーヒー豆の精製方法4種類を解説|風味や味わいを左右する大事な要素

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タンザニア産コーヒーの特徴

「野性的」と評されることも多いタンザニア産のコーヒー。後味の力強さや深いコクは、キリマンジャロ山やセレンゲティなどの雄大な自然とリンクします。

焙煎度合いによって味わいが変化するのも興味深く、それぞれの焙煎度ごとに魅力があります。

浅煎り

浅煎りにしたタンザニア産のコーヒーは、明るく爽やかな酸味が特徴です。フルーティーな甘い香りや、果実味のある後味も印象的。

深煎り

深煎りにすると酸味は控えめになり、キリっとした苦味が引き立ちます。同時に、キャラメルのような甘みが感じられ、深いコクを楽しめます。

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品種や産地について

タンザニアにおけるコーヒーの産地は、大きく4つの地域に分かれます。栽培されるコーヒーの70%gがアラビカ種で、ブルボンやティピカ、ケントが中心です。残り30%はロブスタ種(カネフォラ種)で、北西部のブコバ地区で栽培されます。

先にも解説した通り、キリマンジャロ山から遠く離れた地域でも、ウォッシュド(水洗式)で精製されたアラビカ種は「キリマンジャロ」と名乗ることができます(ブコバ地域を除く)。

キリマンジャロ山周辺(北東部)

タンザニア国内では、早い時期からコーヒーの生産が行われた地域。そのため、コーヒーの生産に必要なインフラが整っています。また、標高も高く、品質にも定評があります。

主な都市

  • アルーシャ
  • モシ
  • ンゴロンゴロ
南部

キリマンジャロ山からは、約1,000㎞以上も離れた地域です。品質の面でもそれほど注目を浴びておらず、コーヒー豆の取引価格も安価。

主な都市

  • ムベヤ
  • ムビンガ
  • ソンゲア
西部

2000年ごろから再開発された、タンザニアの中でも新しい産地。この地域のコーヒーは、酸味が鮮やかで焙煎レンジが広いのが特徴です。

主な都市

  • キゴマ
  • ムパンダ
北西部(=ブコバ)

タンザニア国内で生産されるコーヒーのうち、日本で「キリマンジャロ」と名乗ることができない唯一の産地。ロブスタ種(カネフォラ種)が主流。

タンザニア産コーヒーの等級は大きさが基準

タンザニア産のコーヒー豆の等級は、主に豆の大きさによって決まります。

隣国のケニアとよく似ており、下記のように分かれます。

等級規 格
AA6.75mm以上
A6.25~6.75mm
B6.15~6.25mm
C5.90~6.15mm
PBピーベリー。1つのコーヒーチェリに種子が1つしかないもの(丸豆)。
Eエレファント(極端に大きい豆)
F重い豆であることを表す(「AF」、「BF」などと表記する)
TT小さい豆

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タンザニアにおけるコーヒー栽培の歴史

タンザニアで産業としてのコーヒーが始まったのは、1878年と言われています。フランス人宣教師オルネ神父がレユニオン島(旧ブルボン島)からブルボン種を持ち込んだことがきっかけでした。

その後、ドイツやイギリスの統治下におかれながら栽培が本格化していきます。1914年ごろ、キリマンジャロ山域には200万本のコーヒーが植えられていました。

約300年前から、タンザニアにはコーヒーがあったと言われています。しかしこのころのコーヒーは、飲料ではなく「茹でて噛む」ものとして使われていました。

日本で定番の地位を得た「キリマンジャロ」

日本で「キリマンジャロ」の知名度が上がったのは、ヘミングウェイ原作『キリマンジャロの雪』(1953年公開)のヒットがきっかけと言われています。同年、キーコーヒー(当時は㈱木村コーヒー店)が日本で初めてキリマンジャロの輸入を開始します。

コーヒーの定番として人気のキリマンジャロ。じつは、世界的にはそれほど認知度が高くありません。だからこそ、タンザニアで生産されるコーヒー豆の約2割(18.5%)もの量を、日本向けに輸出できているとも言えます。

生産したコーヒー豆のうち日本に輸出する割合は、ブラジルが約5%、コロンビアが約8%、エチオピアが約4%。比較すると、日本におけるタンザニア産コーヒー豆の輸入割合がいかに多いかがわかります。

各国の生産量と日本の輸入量(2021年)

スクロールできます
国名生産量輸入量割合
ブラジル2,993,780t146,243t4.9%
コロンビア560,340t47,670t8.5%
エチオピア456,000t19,677t4.3%
タンザニア73,027t13,524t18.5%

日本向けの銘柄「エメラルドマウンテン」があるコロンビアも若干高い割合ですが、タンザニアは群を抜いています。

長年にわたるブランディングによって、日本におけるタンザニア産コーヒー「キリマンジャロ」は、しっかりとした地位を確立しています。

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おすすめのタンザニア産コーヒー豆

タンザニア産のコーヒーは、焙煎度によって変わる味わいと、野性味あふれる力強さが魅力的。その魅力を堪能できる、おすすめの商品を紹介します。

入会手続き等が必要なく、amazonで簡単に購入できるものを選びました。気になったものは、ぜひお試しください!

ばいせん工房「ロースト飲み比べのセット キリマンジャロ(100g×3種)」

まず紹介するのは、焙煎度合いの違いを楽しむことができる、「ばいせん工房 珈琲倶楽部 ロースト飲み比べのセット 」。3種類の焙煎度合い(ミディアム・ハイ・フルシティ)を飲み比べることができます。

ミディアムローストでは柑橘系の明るく爽やかな酸味を、フルシティローストではキレのある苦味と甘い後味を体感できます。ハイローストはその中間で、酸味・苦味・甘味のバランスの良さが際立ちます。

スクロールできます
焙煎度合い
もっとも浅煎りのミディアムロースト
中間のハイロースト
深めの焙煎フルシティロースト
内容量300g(100g×3袋)
税込価格1,620円
焙煎度合いミディアムロースト
ハイロースト
フルシティロースト
  • 内容量は焙煎前の重さです。焙煎後は水分が蒸発するため、10%~20%程度減少します。

BLACK CAT MAPLE タンザニア 200g

キリマンジャロ山周辺のアルーシャ地区で育てられ、しっかりとしたコクやボディ感を感じられるコーヒー。中深煎り(フルシティロースト)で、酸味と苦味、そして甘みが調和しています。

迫力のある大粒の豆。芳醇な香りとコクで、飲みごたえ十分なコーヒーです。

内容量200g
税込価格1,460円
焙煎度合い中深煎り
(フルシティロースト)
  • 豆の状態での販売のみ対応。自宅にミルがない人は次の「カカシコーヒー」がおすすめです。

カカシコーヒー キリマンジャロ(150g / 300g)

キレのいい酸味とシャープな苦味、そして果実味のある甘い後味を兼ね備えたコーヒー。雑味のない非常にクリアな飲み口は、丁寧にハンドピックされたことを裏付けています。

焙煎度合いは、中煎り(ハイ ~ シティロースト)。全体が均一に焙煎されておりムラがなく、下の写真のとおり、とてもきれいな仕上がりです。追加料金なしで粉に挽いてもらうこともできるため、家にミルがなくても楽しめます。

内容量150g / 300g
税込価格990円 / 1,880円
焙煎度合い中煎り
(ハイ ~ シティロースト)
  • 追加料金なしで、粉(中挽き)に挽いてもらうことが可能。

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参考サイト・参考図書

  • 『おいしいコーヒーの経済論』(辻村 秀幸 著、太田出版)

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