マンデリンコーヒーの特徴|パンチのある苦味とユニークな風味が魅力的

【苦味と香りが魅力的】マンデリンコーヒーの特徴

2022年のコーヒー生産量では、コロンビアを抜いて世界第3位となったインドネシア。

2022年 コーヒー豆の生産量(上位5か国)

順 位国 名生産量(トン)
1ブラジル3,172,562
2ベトナム1,953,990
3インドネシア794,762
4コロンビア665,016
5エチオピア496,200
GLOBAL NOTE「世界のコーヒー豆 生産量 国別ランキング・推移」より抜粋

インドネシアのコーヒーで人気が高いのが、「マンデリン」。苦味や香りに特徴があるコーヒーとして有名ですが、その魅力や楽しみ方を深掘りしていきます。

この記事を書いた人
コーヒーソムリエ②
もじゃ
  • 日本安全食料料理協会(JSFCA)認定
    コーヒーソムリエ
  • 日本技能開発協会(JSADA)認定
    コーヒープロフェッショナル
  • 年間2,500杯分以上コーヒーを
    淹れる人
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コーヒーソムリエ②
もじゃ
  • 日本安全食料料理協会(JSFCA)認定
    コーヒーソムリエ
  • 日本技能開発協会(JSADA)認定
    コーヒープロフェッショナル
  • 年間2,500杯分以上コーヒーを淹れる人
目次

マンデリンコーヒーの味わいの特徴

マンデリンのコーヒー豆

マンデリンコーヒーの特徴は、なんといってもパンチのある苦味です。しっかりとしたコクがあり余韻も長く持続するため、非常に飲みごたえのある味わいです。

また、ユニークな香りも魅力のひとつで、ハーブやシナモンの香りに例えられます。個人的には、アーシーという表現が、まさにマンデリンの香りを表していると感じます。

「アーシー」とは

「earth(地球)」という名詞に”y”を付けることで「earthy(地球っぽい、地球のような)」という形容詞にしたもの。

表現の例

  • 土のような
  • 木のような
  • 自然な
  • 素朴な
  • 野性的な

深煎りでさらに際立つ力強い苦味と香り

マンデリンコーヒーの魅力である苦味を活かすため、フルシティローストやフレンチローストなど、深めの焙煎が適しています。深煎りにすることで、特徴的な香りもより引き立ちます。

おすすめの食べ合わせ

マンデリンコーヒーは苦味に特徴があり深煎りに適性があることから、ケーキなどの甘いものとの食べ合わせがいいとされます。

ですが、個人的にはマンデリンコーヒーのパンチ力(苦味や余韻)があまりに強く、ただ甘いだけでは味がぶつかってしまう印象です。

甘さだけでなくコクが強いビターチョコやレーズン、濃厚なチーズケーキなどは口なじみがよく、とてもおすすめです。

アーシーな香りはアウトドアでこそ魅力を発揮する

あまり言われることはありませんが、マンデリンはアウトドアでこそ堪能するのがおすすめです。

マンデリンコーヒーのアーシーな香りが大地との一体感を生み、力強い苦味とあいまって、五感のすべてで自然を感じることができます。

焚火を囲んでの一杯、山頂での一杯など、自然にどっぷりと浸かりながら飲むマンデリンコーヒー。もともとがしっかりとした飲みごたえのある味わいなだけに、このうえない満足感があります。

アウトドア用のドリッパーもあるので、ぜひ一度、「マンデリン×アウトドア」を体感してみてください。わざわざ手間をかけることも含めて、最高の時間が過ごせるはずです。

魅力的な風味を生む精製方法「スマトラ式」

マンデリン(コーヒー豆、生豆)
マンデリンの生豆は深い緑色

マンデリンコーヒーの特徴的な味わいを生み出す理由の一つに、独特な精製方法である「スマトラ式」を採用していることがあげられます。

コーヒー豆の精製とは、コーヒーチェリーを乾燥させて生豆に処理する一連の工程のこと。主な方法として、「ナチュラル」「ウォッシュド」「ハニープロセス」があります。

代表的な精製方法の特徴

しかし、インドネシアは他のコーヒーの産地に比べて降雨量が多く、従来の精製方法ではうまく対応できませんでした。

こうした気候の制約を克服するため、2回に分けて乾燥させる方法(スマトラ式)が考案されました。

▼工程の違い(概要)

各種精製方法の工程(ナチュラル、ハニープロセス、ウォッシュド、スマトラ式)

現地ではスマトラ式のことを「ギリン・バサー」と呼びます。

スマトラ式で精製されたコーヒー豆は、ぷっくりとした深い緑色をしており、アーシーと表現される特徴的な香りになります。近年では、ウォッシュドで精製されるインドネシア産コーヒー豆も増えています。

マンデリンコーヒーをおいしく淹れるポイント

ペーパードリップ(イメージ)

パンチのある苦味とユニークな香りが魅力のマンデリンコーヒー。

しかし、その個性的な香りは「クセが強い」とネガティブな評価を受けることもあります。好みなので正解も不正解もありませんが、もしかするとネガティブな評価の原因は、その「淹れ方」かもしれません。

”ユニーク”と”不快”は紙一重です。次の3つを意識して淹れてみると、印象が変わるかもしれません。

チェックポイント

  1. 豆の品質・鮮度
  2. コーヒー豆の挽き方
  3. お湯の温度

①豆の品質・鮮度

やはり、コーヒー豆の品質や鮮度は印象を大きく左右します。豆の等級が高く、焙煎後間もない豆を使いましょう。

等級について

マンデリンの等級(グレード)は、生豆300g中に含まれる欠点豆(=できの悪い豆)の数によって決まります。欠点豆の少ないものが「G1」、次いで「G2」、「G3」と、順にグレーディングされます。

鮮度について

焙煎後、ある程度の時間が経つとカビ臭さなどの不快な香りが強くなります。保存方法や保存状態などによって異なりますが、未開封状態では焙煎日から2カ月以内、開封後は1か月以内が目安です。

②コーヒー豆の挽き方【細挽きに注意】

マンデリンは、スマトラ式という独特の方法により精製され、深めに焙煎されます。すると、焙煎後のコーヒー豆はもろくなります。

もろくて弱いマンデリンのコーヒー豆は、他のコーヒー豆と同じ設定で挽くと、設定以上に細挽きになりやすいので注意が必要です。細挽きになるほど過抽出になりやすく、雑味やえぐ味などが出てしまいます。

手動ミルの場合、抵抗が小さい場合にはコーヒー豆がもろいサインです。

③お湯の温度【熱湯はNG!】

熱湯で抽出することで過抽出となり、雑味やえぐ味まで抽出してしまいます。

先にも述べた通り、焙煎されたマンデリンは組織がもろくなっているため、85℃程度のお湯でも十分に抽出できます。むしろ、高温で抽出すると苦味が強くなりすぎるため、85℃くらいが適温とも言えます。


おすすめの淹れ方

  • コーヒー豆: 12g
  • お湯の量 : 150cc
  • お湯の温度: 85℃
  • ドリッパー: メリタ(1つ穴)

インドネシアにおけるコーヒー生産の歴史

略年表

1696年

コーヒーの栽培が始まる

1699年

コーヒーの繁殖に成功

1711年

オランダ東インド会社の管理のもと輸出開始

1888年

サビ病の発生

1900年代

アラビカ種が壊滅的に
ロブスタ種へ置き換え

インドネシアでのコーヒー栽培の始まり

1696年、インドネシアでコーヒーの栽培が始まります。当時はオランダ領であり、総督の指示のもとジャワ島に数本の苗木が植えられます。しかし、この時の苗木は洪水によって流されてしまいました。

その後、1699年に繁殖に成功すると、1711年にはオランダ東インド会社の管理のもとでコーヒーの輸出が始まります。

全滅の危機を経験していた

なんと、インドネシアのコーヒーは、1900年代にほとんど全滅の状態に陥った過去があるのです。原因は「サビ病」でした。

当時栽培していたのは、すべてアラビカ種でした。アラビカ種は、高品質と引き換えに病害に弱い品種です。これを機に、病害に強いロブスタ種をメインで栽培するようになります。

現在でも、インドネシアで生産されるコーヒーの90%がロブスタ種。

希少性が高いマンデリン

インドネシアで栽培されているコーヒー豆は90%がロブスタ種で、残りの10%がアラビカ種。この10%の中でも、マンデリンが占めるのは数%だけです。

ちなみに、マンデリンコーヒーとは、1900年代のサビ病による全滅の危機乗り越え、マンデリン族が栽培していたアラビカ種がルーツとなっています。

自然を感じながらゆったりと味わいたい

マンデリンコーヒーの特徴は、パンチのある苦味とユニークな香りです。そのユニークな香りは”アーシー”とも例えられ、自然や大地を思い起こさせてくれます。

さまざまな研究により、自然にはストレスを解消する効果が高いことがわかっています。森林浴はもちろん、自然の香りを感じるだけでも効果があります。

デジタルデバイスに囲まれ、常に情報とアクセスしている現代。だからこそ、忙しい日々の生活の中に自然を感じさせてくれるマンデリンコーヒーはいかがですか?

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