良質なスペシャルティコーヒーの産地として注目度が高まっている、ニカラグア。
正直、日本ではあまり認知度が高いとは言えません。しかし、生産量や日本への輸入量を見てみると、「ハニープロセス」で人気のコスタリカを上回っています(2021年)。
2021年 コーヒー豆の生産量(抜粋)
順 位 | 国 名 | 生産量(トン) |
---|---|---|
1 | ブラジル | 2,993,780 |
2 | ベトナム | 1,845,033 |
3 | インドネシア | 765,415 |
4 | コロンビア | 560,340 |
5 | エチオピア | 456,000 |
12 | ニカラグア | 167,831 |
16 | コスタリカ | 88,200 |
2021年 コーヒー生豆輸入量(抜粋)
順 位 | 国 名 | 生産量(トン) |
---|---|---|
1 | ブラジル | 146,243 |
2 | ベトナム | 100,325 |
3 | コロンビア | 47,670 |
4 | インドネシア | 24,882 |
5 | グアテマラ | 19,913 |
12 | ニカラグア | 1,733 |
16 | コスタリカ | 1,303 |
ニカラグア産コーヒーの味わいの特徴やコーヒー栽培の歴史、おすすめのコーヒー豆などを紹介していきます。

- 日本安全食料料理協会(JSFCA)認定
コーヒーソムリエ - 日本技能開発協会(JSADA)認定
コーヒープロフェッショナル - 年間2,500杯以上コーヒーを
淹れる人

- 日本安全食料料理協会(JSFCA)認定
コーヒーソムリエ - 日本技能開発協会(JSADA)認定
コーヒープロフェッショナル - 年間2,500杯以上コーヒーを淹れる人
ニカラグアはどんな国?
ニカラグアは中米の国で、北はホンジュラス、南はコスタリカと国境を接しています。その広さは日本の1/3程度(北海道と九州を合わせたくらい)で、中米では最も大きい国。
太平洋に面した西部には、モモトンボ山やサンクリストバル山など、多くの火山が集中しています。そのため、コーヒー栽培に適した肥沃な火山性土壌が形成されています。
ニカラグア産コーヒー豆の特徴

ニカラグアでは、多様な品種のコーヒーが栽培されています。そのため、土地や気候等の違いに加え、品種の違いもコーヒーの味わいに影響します。
全体的な印象としては、明るくキレイな酸味と華やかなフレーバー、そして繊細でなめらかな質感があります。焙煎度合いとしては、中煎り(ハイロースト~シティロースト)がおすすめです。

ペーパードリップの場合、ドリッパーにはハリオV60(またはORIGAMI)を使うのがおすすめ。きれいな酸味や香りを引き立たせてくれます。
関連記事 >>> 【おすすめ3選】コーヒー初心者こそドリッパーにこだわろう|淹れ方の基本も詳しく解説
繊細な質感や複雑さをダイレクトに楽しみたい人は、フレンチプレスがおすすめ。ただし、雑味も感じやすくなるので、挽き目を少し粗めに調節するのがポイントです(ザラメとゴマの間くらい)。

関連記事 >>> 【初心者向け】なぜ自分で淹れたコーヒーがまずいのか?その原因とおいしく淹れる方法を解説!
ニカラグアで栽培される多様な品種
ニカラグアにおけるコーヒーの産地は、北部(ホンジュラスとの国境付近)の山岳地帯に集まっています。
- ヒノテガ
- マタガルバ
- ヌエバ・セゴビア
地域こそ限定的ですが、栽培している品種はバラエティに富んでいます。いろんなフレーバーが楽しめるのも、ニカラグア産コーヒーの特徴・楽しみ方のひとつです。
ブルボン
ブルボン島(現レユニオン島)で発見された、ティピカの突然変異種。きれいな酸味と甘みを持った、とても風味豊かな品種です。ただし、さび病などの病虫害に弱く、収穫量も少ない希少な品種です。
カトゥーラ
ブルボンの突然変異種で、木のサイズが一回り小さいのが特徴。密集して栽培することができるため、全体としての収穫量は増えます。中米各国で広く栽培されている品種です。
マラゴジッペ
ティピカの突然変異種で、大粒の豆が特徴。明るく華やかな風味があります。
マラカトゥーラ
カトゥーラとマラゴジッペの交配種で、ニカラグアで発見されました。マラゴジッペよりさらに大粒ですが、なめらかな質感ときれいな酸味、そして繊細なニュアンスが印象的な豆です。
パカマラ
ブルボンの突然変異種であるパカスと、マラゴジッペの交配種。コンテストでも上位入賞常連の品質で、近年、注目を集めている品種です。特にニカラグアでは完熟しても実が黄色い「イエローパカマラ」が人気。
ジャバ(ジャバニカ)
ニカラグアでは、「ジャバニカ」として流通している品種。エチオピアからジャワ島(インドネシア)を経由し、ニカラグアに伝わりました。味わいのバランスが良く、フローラルな香りが印象的。
ハイブリッド品種
ハイブリッド品種とは、アラビカ種とロブスタ種をかけ合わせた品種のこと。アラビカ種の風味の良さと、ロブスタ種の病虫害への耐性を引き継いでいます。ニカラグアでは、「マルセジェッサ」や「エチオサル」という品種が開発されました。
ニカラグア産コーヒー豆の等級は標高で決まる
ニカラグア産コーヒー豆の等級は、他の中米各国と同じく、栽培される標高で決まります。
標高が高いことで生じる寒暖差でコーヒーチェリーの糖度が高くなり、高品質なコーヒー豆ができると考えられています。
等級 | 標高 |
---|---|
SHG (ストリクトリー・ハイ・グロウン) | 1500m以上 |
HG (ハイ・グロウン) | 1300m~1500m |
MG (ミディアム・グロウン) | 1000m~1300m |
LG (ロー・グロウン) | ~1000m |
ニカラグアにおけるコーヒー栽培の歴史

ニカラグアにおけるコーヒー生産は、1790年、カトリック宣教師が持ち込んだことがきっかけで始まりました。
コーヒーは当初、珍しいことを理由に栽培されていたものでした。しかし、19世紀半ばからの世界的なコーヒー需要の高まりとともに、ニカラグアにとって重要な農作物のひとつとなっていきます。
補助金や法令整備など、ニカラグア政府はその後もコーヒーの生産を奨励します。1992年にはついに、コーヒーがニカラグア最大の農作物となります。
しかし、1998年のハリケーン・ミッチにより大打撃を受けました。さらに、翌年度からのコーヒー価格の大暴落が追い打ちとなり、コーヒー業界は大きなダメージを受けます。
1998年10月22日に発生したハリケーン。ホンジュラスを中心に中米各国に甚大な被害をもたらし、その犠牲者は約2万人にものぼる。
その後、2002年からはカップ・オブ・エクセレンス(COE)を開催し、品質や知名度、付加価値の向上、競争力の強化などに取り組んでいます。
品質の高さ、そして農園や協同組合単位までたどれるトレーサビリティの明確さなど、スペシャルティコーヒーにおいて不可欠な要素をしっかりと満たしています。
関連記事 >>> スペシャルティコーヒーとは?定義やサードウェーブとの関係をわかりやすく解説!
国際的なコーヒー豆の品評会。その年に生産されたコーヒーの中で、品質の高いコーヒーを決めるもの。生産国ごとに開催される。
おすすめのニカラグア産コーヒー豆
ネット通販で購入できる、おすすめのニカラグア産コーヒー豆を紹介します。
ニカラグア サンホセ農園 イエローパカマラ
はじめに紹介するのは、完熟しても実が黄色い「イエローパカマラ」という品種。パッションフルーツやパイナップルを思わせる、明るく爽やかなフレーバーです。
豆は大粒で迫力がありますが、その味わいはクリアで繊細。非常に香り高く、見た目から受ける印象と実際に飲んだときのギャップの大きさも魅力のひとつです。

焙煎度合いは、購入時に自分で選ぶことができます。ぜひ、出店者も推奨している「ハイロースト」を選んでください。爽やかな酸味の魅力と、華やかな香りを最大に引き出せます。

ニカラグアのコーヒーは飲んでみたいけど、酸味は苦手かも…
こうした不安がある方は、もう一段階深めの焙煎「シティロースト」を選んでみてください。または、次に紹介する「甘み」に定評がある土居珈琲の豆をお試しください。

ニカラグア サンホセ農園 イエローパカマラ
内容量 | 150g |
焙煎度合い | 選択可(8段階) ※ おすすめは「ハイロースト」 |
税込価格 | 2,644円 |
ニカラグア ラグーナ農園 ナチュラルロット

次に紹介するのは、「甘み」に特徴をもったニカラグア産のコーヒーです。先に紹介したイエローパカマラとは印象が全く違い、飲み比べることでフレーバーの幅広さを実感できます。
コーヒーチェリーのまま天日干しする「ナチュラル」という精製方法により乾燥させるため、香り高くワインのような風味に仕上がります。
【関連記事】コーヒー豆の精製方法4種類を解説|風味や味わいを左右する大事な要素


2回のハンドピック、そして「小さな焙煎」にこだわる土居珈琲。その分、価格は高めになってしまいます。しかし、充実感と満足感に満ちたコーヒー体験ができます。
ニカラグア ラグーナ農園 ナチュラルロット
内容量 | 200g |
焙煎度合い | フルシティロースト |
税込価格 | 2,268円 |
参考サイト・参考図書
- 全日本コーヒー協会
- GLOBAL NOTE(国際統計・国別統計専門サイト)
- ALLIANCE FOR COFFEE EXELLENCE(ACE)
- 『ビジュアル スペシャルティコーヒー大事典 2nd Edition』 (日経ナショナルジオグラフィック社)
コメント